地域経済を元気にする スポーツツーリズムプロジェクト始動
藤枝市のサッカーを中心にスポーツを核とした観光誘客の取り組みが観光庁の「観光DXによる地域経済活性化に関する先進的な観光地の創出に向けた実証事業」にモデル事業として採択を受けました。官民一体でスポーツツーリズムを推進し、観光DXによる「稼ぐ観光スタイル確立」へとつなげる取り組みがスタート。7月19日、「蹴球都市藤枝Next100スポーツツーリズム共創会議」のキックオフカンファレンスが行われました。
藤枝市の現状と課題
藤枝市はこれまで、「サッカーを核としたまちづくり」に官民が一体となり取り組んできました。その結果、日本有数の「サッカーのまち」と知られ、多くのサッカー大会やスポーツ合宿が行われるようになりました。その数は、年間60回以上におよび、「スポーツをする人」「スポーツを見る人」を合計すると、年間で約16万人が藤枝市を訪れています。
この来訪需要を好機と捉え、「プロスポーツ観戦宿泊助成制度」等の来訪者の滞在時間増加および消費拡大を図る様々な施策を講じてきましたが、地域の施策や情報がバラバラに発信されていること、来場者数・規模を地域事業者が把握できず、需給を予測できないことなどから観光消費額は周辺地域よりも低い状況でした。また、輸送業界が抱える2024年問題も大きく影響しており、二次交通を担う人材不足によるイベント開催時の輸送量の減少も新たな課題となっています。
スポーツを契機に稼ぐ観光の確立へ
「蹴球都市藤枝Next100スポーツツーリズム共創会議」のキックオフカンファレンスには、地域事業者を中心に約100名の参加がありました。北村正平市長は「スポーツをきっかけとして、歴史・文化、お茶などの食文化、豊かな自然など地域の宝を集めて、経済界、行政が一体となっ観光交流人口を拡大し、稼ぐ観光の確立を目指す。今回の取り組みが全国の先進モデルとなり、市民が元気で幸せになるまちづくりを進めていく」と挨拶したほか、本事業の連携事業者である株式会社ナビタイムジャパンの大西啓介社長は、「交通や滞在時間の延長は、スタジアムでのスポーツ観戦における全国的な課題」と指摘したうえで、ナビタイムジャパンのソリューションを活用することで、スポーツによる地域経済の活性化に貢献していくことに意欲を示しました。また観光庁の秋本純一専門官による講演「観光DXの推進」に続き、本事業内容について、藤枝市観光交流政策課およびナビタイムジャパンから概要説明が行われ、「稼ぐ観光スタイルの確立」へむけたロードマップが示されました。
今後の展開
本事業では4つの取り組みを行います。1つ目は「ターゲットに適した情報発信ツールの構築」です。観光協会ホームページのリニューアルに伴い、ターゲットに適した媒体や手法で、情報を提供するとともに、地域内の体験アクティビティ等の予約のオンライン化を図り、来訪者の利便性向上・周遊促進につなぎます。2つ目は「事業者プラットフォームの構築」です。生成AIを活用したチャットツールを用いて、スポーツ・イベント等の来場予測等の情報共有やその状況に対する施策等のレコメンドを行い、事業者の効果的な施策展開をサポートし、地域事業者の生産性向上につなぎます。
また、来場者数等に応じて、相乗りや他モビリティを推奨するなどして、効率的な輸送の実現を目指す「輸送手段の効率化」や、デジタル人材の育成を行う「デジタル人材育成・活用」などにも取り組み、DXの推進により地域として「稼ぐ観光スタイルの確立」を目指します。